No.91 レティキュレーション加工の結婚指輪
ラフで荒い雰囲気で
ペアの結婚指輪を作りたいというご依頼。
お話を伺っていくと
普通の荒い仕上げくらいでは足りなさそうな
腐食し朽ち果てた鉄塊のような、とにかく荒々しい雰囲気での制作をご希望とのこと。
ということで
今回チョイスした表面加工は
『レティキュレーション』という珍しい技法。
この技法は金属の表面だけをバーナーで高温に熱し
溶けた瞬間にバーナーを離し、
再度固まった時に特有のシワや凹凸を生み出す彫金技法の一つ。
この技法、
溶かしてみないと
どんな風にどのくらい溶けるか、どんなシワが生まれるか
作業者にも厳密に計算できないので
綺麗なシンメトリーのものを作るより
ある意味難しかったりします。
案の定
溶かしすぎたり
思ったような風合いに溶けなかったり
バランス良い溶け具合を探りつつ
何度かやり直しの末完成しました。
【完成品】
お二人とも
左半分がプラチナ950、右半分がk18イエローゴールドのコンビタイプ。
この
なんとも言えない
人の手や機械では表現出来ない
溶けた金属が一瞬にして固まった時のシワ感。
今回はレティキュレーションの荒さがさらに生きるように
最後にホーニング加工(砂をかける艶消し加工)を施しました。
内側は平らにして
ピカピカに鏡面仕上げ。
やはり着け心地は重要なので。
プラチナとゴールドの接合部分もあえて段差をつけ、
溶接したロー材もそのままにして
とことんラフな雰囲気に。
ご新婦様用にのみ
アクセントにブルーサファイアを埋め込み。
無事形になり
苦労の甲斐あって
とても喜んで頂けました。
なかなか思い通りにいきにくい
職人泣かせな加工ではありますが
間違いなく世界で1つの(、、というか同じ風には作れない)
変わった表面になるので
気になった方は
『レティキュレーション』
是非ご相談ください。