No.224　表面を溶かした結婚指輪

今回ご相談いただいたのは
素材はゴールドで
表面を溶かした
「レティキュレーション加工」の結婚指輪。

久しぶりに出ました、
職人泣かせのこの加工。

削ったり叩いたりして加工するのは
ある意味手の動かし方に答えがあるので
正しい作り方で時間をきちんとかけれれば
作りやすいのですが

この金属の表面を手作業で溶かして作る
レティキュレーション加工、
火の強さ、当て方はもちろん
対象の金属の素材の状態、厚み、幅、、、

これらのほんの少しの違いで
どのくらいどんな感じに溶けるか予測が難しく
デザイン、寸法通りに調整しづらいので
ある意味オーダーに向かない表面加工と言えます。

私　『、、というわけで
色々難がある加工なんですが、
、、やりますか？』

お二人「はい！！」

私　『やりましょう！！』

という感じで
完成したものがこちら。

ご新郎様用は
リング幅約4.0mm前後。

ご新婦様用は
リング幅約3.0mm前後。

まずベースのリングを甲丸状に制作し
少しずつ火をかけて
表面をじわじわと溶かしながら
自然界で生み出された鉱物の原石のような
不規則ながらも味わい深い表面を表現しました。

あー、うまくいって良かった。。

リングの外側は粗さを中和するように
艶を抑えたマットに加工し、
リングの内側はピカピカツルツルに磨いて
違和感なく身に付けられるように。

リングの内側には
それぞれ少し大きめの
エメラルドとルビーを埋め込み。

世界で一つの
お二人を想って作った
お二人の為だけの指輪の形。

自然界に直線は存在しないと言われます。

そんな不規則で力強い美しさを
ジュエリーに落とし込んだ
素敵な結婚指輪でした。

末長くお幸せに。