No.266　オリジナルマット加工の結婚指輪

今回制作させて頂いたのは
形はシンプルなのですが
仕上げと石留めが少し特徴的な２本。
 
完成品がこちら。

リング幅4.5mmと3.5mmの
少し幅広の平打ちリングを
少し角をとって丸みを出し
さらにほんの少しだけ凸凹がつくように
ゆるい槌目を付けました。

あと今回の最大のポイントが
このなんとも言えないざらざらの表面加工。

世の中に出回ってるスタンダードな加工ではなく
一般に流通している言葉はないのですが
加工を施す道具の名前から
「ファインカット仕上げ」と勝手に呼んでいます。

ご新婦様用は幅3.5mm。
 
こちらにはダイヤモンドを1石
６点のナナコ(玉の彫り)をいれて留めました。

特段変わったようには見えないかもしれませんが
この留め方は
４点の玉で留める(４点留め)のが通常で
今回はお要望にお応えして
６点の玉を作って留めました。
 
バランスがちょっとでもずれるとおかしくなるので
とても綺麗に留まりました。

こちらも

このよく見るとすこーし凸凹してるくらいの
ゆるい槌目と
ほのかにざらつきのあるファインカットの感じが
悠久の時を刻んできたかのような
アンティークな渋さを感じます。

表面の加工は言うなれば
世の中のモノの数だけ無限大に可能性があり
例えばアスファルトの上でリングをガリガリ擦って
「アスファルト仕上げ」、なんてのも
なしではないと思います。


磨いたり、叩いたり、削ったり、
擦ったり、打ったり、加熱したり、
色んな表現ができるのは
金属加工の奥深さであり魅力です。

完成品をお渡しして
無事大変お喜び頂けました。
 
将来的に表面が少し磨耗していくことで
またいい感じの風合いになるんじゃないかなと
予想しています。

シンプルな中にさりげなくも
しっかりこだわりを詰め込んだ
とても素敵な結婚指輪でした。
 
末永くお幸せに。