BLOG ・ ブログ


2022.07.02 Saturday ジュエリーの知識

デザインの知識18 表面加工

こんにちは、
スタッフの小松です。

すごく久しぶりに
三鷹の森ジブリ美術館に行ってきました。

木のぬくもりが溢れる館内。
小さい映画館とかわいい映画。
屋上の巨神兵と見える見えるぞの石。
大人は乗れない猫バスなど、とっても癒されてきました。

最近の展示会等では
写真撮影可のところが増えていますが
ジブリ美術館は撮影禁止。

スマホの中の思い出は少なめですが
最初から撮影できなければ
目の前の展示にあんなにも夢中になれるものなのかと
ちょっと感動を覚えました。

この映画見たよね、とか
このキャラ知らないけどかわいいとか
懐かしんだり新たにキュンとしたり
大人も子供もおしゃべりしながら
楽しめる美術館だなと思います。

まだ行ったことない方は是非。
チケットは予約制ですので
公式HPを確認してみてください。

名古屋に11月にできるジブリパークも
いつか行ってみたいなと思っています。
 
 

 

1.基本的な表面加工の種類


今回のデザインの知識は
「表面加工の種類」についてです。

表面加工とは、
金属の表面に施す装飾のようなものです。

いろんな道具を使って
表面を磨き上げたり、傷をつけたりしながら
金属にさまざまな表情を出していきます。

表面加工の基本的な種類は
何十種類もあるわけではありませんが、
同じ道具を使っていても傷の付け方を変えたり、
また、自ら表面加工の道具から作ったりと
そういった細かい違いを数に加えていけば
表面加工の数は職人の数だけ増えていくと思います。

今回は基本的な表面加工の種類と
hitotsuchiオリジナルの仕上げ、
また表面加工ではありませんが
hitotsuchiで指輪の表面にほどこすことのできる装飾を
ご紹介していこうと思います。

まずは基本的な表面加工の種類をご紹介します。
基本的な加工は5つに分けることができます。

・鏡面加工
・ヘアライン加工
・ホーニング加工
・槌目加工
・スターダスト加工

です。
ヘアラインとホーニングは
種類の異なる加工ですが、
両方とも表面がマットになるため、
マット加工と言われることもあります。

次の章では加工ごとに分けて、
どんな表面加工なのか、
どんな方法で付けられるのか、
経年変化でどう変わるか、について
ご紹介していきましょう。

 

2.鏡面加工


結婚指輪のオーダーメイド 表面加工の種類 鏡面加工 ミラー加工
ミラー加工とも言われます。
ブライダルリングだけでなく全てのジュエリーの中で
一番使われている表面加工です。
”鏡”とつくだけあって、
鏡のように物が写り込むほど
磨かれたものを指します。
艶々と輝きが強く金属光沢を最大限楽しめる加工です。
周りのものをよく反射するので
金属の地の色が少し薄く見えます。

また、他の表面加工をする際にも
全体を一度鏡面加工にしてから
加工を施すこともあります。
作業工程の中でも基本の磨き方です。

磨き方は
高速回転するブラシや巨大なバッファーというもので
研磨剤をつけて磨くため
摩擦熱でリングもかなり高温になりますし、
他の表面加工に比べると、一番力を使う仕上げです。
力が弱いと磨いているジュエリーが吹っ飛んでしまう…
なんてこともあります。
大きな工房などでは磨き専用部屋や
専任の職人さんがいらっしゃいます。

鏡面加工の経年変化:
長年着け続けていると
小傷が着いて徐々にマットな表面になっていきます。
お手入れは金属磨きのクロスを使うと
艶が長持ちしますよ。
購入店でクリーニングなどを行えば
買ったときのように元に戻りますが
クリーニングは表面を薄く削っていく作業なので
頻繁に行いすぎない方が良いです。
たまには綺麗にしたい程度でしたら
デザインにもよりますが3〜5年くらいに1度くらいがおすすめですよ。
また、小傷もジュエリーの経年変化として楽しみたいという方は
クリーニングを行わないという選択もありです。

 

3.ヘアライン加工


結婚指輪 オーダーメイド ツイストリング ゴールド
ヘアライン加工はマット加工の1つです。
金属の表面が少し曇ったようになり、
鏡面よりも光を反射しないため
金属の色も鏡面より濃くはっきりと見えます。

横に真っ直ぐなヘアラインであれば横方向に
綺麗な一定の線が浮かび上がります。
模様ではなく傷なので
遠くから見てもわかりませんが
均一なヘアラインは
傷の流れが一定であるほど綺麗ですし、
真っ直ぐだけでなく斜めに傷をつけるようにして
結婚指輪を捻った綱のような雰囲気にすることもできます。
結婚指輪のオーダーメイド 表面加工 ヘアライン 
また反対に、ランダムにすると規則性のない線が指輪全体を覆うので
真っ直ぐな線とはまた違う
カジュアルで味のある雰囲気になります。

また当店では
ヘアライン艶多め、ヘアライン艶少なめなど
ヘアラインの程度を微調整することができます。
艶多めはマットの中に金属光沢が少し残るくらい、
艶少なめだとかなりしっかりとヘアラインを入れて
マットな仕上がりになるように仕上げています。

ヘアラインの付け方は
一定方向に紙やすりや
金属のブラシなどを当てて
指輪の表面に傷を付けていきます。
髪の毛の流れのように横に真っ直ぐラインを残す
というのが基本の形ですが
ラインを斜めにしたり、縦にしたり
ランダムにすることも可能です。
(ヘアラインの向きや程度を変更できるかは
お店によって違いますので
気になるお店へはお問い合わせしてみてください。)

ヘアライン加工の経年変化:
マットな表面のヘアラインは
時が経つと傷が摩耗されて
徐々にツヤが出てきます。
鏡面加工とは反対に買った時よりも
艶々としてくると思います。
同じマット加工のホーニングも同様です。
購入時と同じように加工を施せば
同じような見た目に戻すこともできます。

また、お手入れ用の金属磨きクロスで磨くと
ヘアラインの傷が消えて
鏡面のように艶々としてしまうので
マットな表面を長く楽しみたい方は
金属磨きでのお手入れは控えてください。

 

4.ホーニング加工


結婚指輪 オーダーメイド ホーニング加工こちらはヘアライン加工とは
また違う見た目のマット加工です。

ヘアラインは表面に線の傷を付けますが、
ホーニングは細かい粒々の傷がつきます。
写真をよーく見ると金属の表面がポコポコとしているのですが
肉眼ではほとんど見えず、綺麗なマットな表面に見えます。

ホーニングの程度にも強弱をつけることは可能なのですが、
元々そこまで深く傷がつくものではないので
薄く付けてもすぐマットな表面が削れて艶が出てしまいます。
なので基本的にホーニングの加減は一種類です。

ホーニングは専用の機械を使います。
空気圧で細かいビーズを噴射し
それを指輪に吹き付けてマットな表面にしています。

また、ガーネットの小さな粒を
水と一緒に指輪にかけることで傷を付ける方法もあります。
これは「梨地」と言われるもので
仕上がりの見た目はホーニングと似ていて
ホーニングよりも目の荒いマット加工です。

ホーニング加工の経年変化:
ホーニング加工もヘアライン加工と同じように
月日が経つと徐々に擦れて
傷が摩耗し艶が出てくるようになります。
購入時と同じように加工を施せば
同じような見た目に戻すこともできます。

お手入れ用の金属磨きクロスもヘアラインと同じで
傷が消えて鏡面のように艶々としてしまうので
マットな表面を長く楽しみたい方は
金属磨きでのお手入れは控えてください。

 

5.スターダスト加工


結婚指輪のオーダーメイド 表面加工 スターダスト
スターダスト加工は金属がキラキラと乱反射する
華やかな加工です。
ホーニングよりも金属の凹凸が大きめで激しく、
肉眼でも凹凸を見ることができます。
指輪全体に満遍なく入れるとキラキラと輝く
華やかな表面加工です。

スターダスト加工はダイヤモンドポイントという
本物のダイヤモンドがついた工具を
金属の表面に連続して当てて傷を付けていきます。
指輪に対して力の掛かる加工なので
曲がる可能性がある細い指輪には向いていません。

スターダスト加工の経年変化:
凹凸の大きいスターダストは
使い始めはキラキラとしている部分が
月日と共に摩耗することで
キラキラが抑えられていきます。
徐々にマットになっていきますが
ホーニングやヘアラインに比べると
傷が深く付いているので
キラキラを長い間楽しめます。

汚れたと感じた時は
金属磨きのクロスだと
ザラザラに繊維が引っかかってしまうので使用せず、
薄めた中性洗剤で洗うと綺麗になります。

 

6.槌目加工(つちめかこう)


結婚指輪 オーダーメイド 細かい槌目加工
金槌で金属を叩いてつけた表面加工のことを
槌目加工と言います。
ハンマー仕上げや槌目模様とも言います。
槌とは金槌のことを指しています。

槌目加工と一言に言っても
他の加工に比べるとかなり表現の幅の広い表面加工です。
金槌の大きさ、叩く強さ、また金槌自体に付いている傷の模様でも
印象が変わってきます。

槌目の模様が大きいか小さいか、
槌目の角が緩やかかカクカクしているか、
打ち付ける力の度合いで凹む深さが変わったり、
わざと傷を付けた金槌で叩いて模様をつけるか
などなど。

職人さんによっては自分で金槌に模様をつけて
オリジナルの槌目模様を作る人もいます。

他の表面加工は金属の表面を変えていく加工ですが
槌目加工は金属の形を変えていくので
他の加工に比べると指輪の印象の大部分を占めます。
クラフト感を強く感じるものが多いので
カジュアルにも楽しめる結婚指輪をお探しの方は
お好きなんじゃないかなと思います。

槌目模様は
芯金(しんがね)という金属の棒に指輪を刺して
くるくると回しながら金槌で表面を叩いていきます。
強く叩きすぎると金属が延ばされて
指輪のサイズが変わってきてしまうので
サイズが変わらないように、
また叩いてサイズが大きくなった時に
ちょうど良いサイズになるように
その都度、調整しながら叩きます。

どこに金槌を打てば
思い描いた良い感じの模様になるか、
適当に叩いてそうでは実は
色々考えながら打ち込んでいると聞きました。
一投一投気持ちを込めて模様をつけていく
hitotsuchiでも人気の表面加工です。

槌目加工の経年変化:
槌目加工には今までご紹介してきた
鏡面加工、ヘアライン加工、ホーニング加工、
スターダスト加工を一緒に施すことができます。
その場合、金属の表面の経年変化は
その加工と同じように変化していきますので
それぞれの加工をご参考にしていください。

形の変化としては、
普通の使い方をしていれば
形が変わるほどの変化はないと思います。
なのであまり、
槌目加工をし直すということはしません。

角が出ているような形の槌目だと
月日が経つと多少角が丸くなってくることが
あるかもしれません。
月日を重ねるたびに指輪が指に馴染むように
味わい深い結婚指輪になってくれると思います。

 
 

ここまで5つの基本的な表面加工をご紹介しました。
気になる加工はありましたでしょうか?
お店によってご用意している加工はさまざまなので
どの表面加工を扱っているかは
気になるお店にお問い合わせしてみてください。

また、各加工の経年変化についても書いてみました。
長い間着け続けていれば
月日が経たないと見ることができない
味のある表面の結婚指輪になってくれると思います。
長い年月を共にする結婚指輪だからこそ
見ることができる表面じゃないかなと思います。
節目でクリーニングに出すもよし、
そのまま小傷が付いていく表面を育て続けるもよし、
好きな方法で結婚指輪を大切にしてあげてください。

1つ注意点があり、
基本的にはクリーニングに出せば綺麗になりますが、
表面を削るだけでは修復出来ないような深い傷がある場合は
クリーニングだけでは完全には綺麗に出来ないかもしれません。
深い傷が直せるかは購入店の方に一度相談してみましょう。

 

7.hitotsuchiオリジナルの表面加工


ここまで基本的な表面加工の種類を挙げてきましたが
この他にもオリジナルで表面加工を作る職人もいます。

金属の表面に何かをして
傷を付けたり凹ませたりすることを
総じて表面加工というのであれば、
極端なことを言えば
コンクリートや拾った石などで
金属に傷を付けた表面加工というのも
ありといえばありです。

hitotsuchiはブライダルリングがメインなので
そこまで前衛的な表面加工は使用していませんが
一応他では見かけない
オリジナルの表面加工があります。

結婚指輪 オーダーメイド オリジナル表面加工No.266 オリジナルマット加工の結婚指輪

マット加工の1つでhitotsuchiでは
「ファインカット仕上げ」と呼んでいます。
指輪全体を専用の工具で傷を付けていく加工で
遠目から見るとヘアラインに近いですが
ヘアラインのように線で傷を付けているわけではないので
表面の見た目は少し違います。

写真のように槌目と組み合わせると
表面の起伏によって陰影ができるので
マットなのに金属の艶を感じられると思いますよ。

もしかしたら他のお店でもやっているところは
あるかもしれませんが、
今のところ見かけたことがないので
当店オリジナルの仕上げとしてご紹介しました。

ホーニングともヘアラインとも違う
マットな表面加工のファインカット仕上げ。
気になる方は是非ご相談ください。

 

8.指輪の表面にできるその他の装飾


今回はさまざまな表面加工をご紹介してきましたが、
表面加工以外にも金属に付けられる装飾があります。
ここではhitotsuchiでできるものをご紹介しますね。

結婚指輪 オーダーメイド カーブとミル打ち
・ミルグレイン
ミル、ミル打ちとも言われます。
ミルタガネという工具を使用して
金属に丸い模様を入れていく装飾です。
ミルは千、グレインは粒という意味で
幸せが繁栄するという縁起のいい装飾として
長く親しまれてきました。
クラシカルな婚約指輪や
結婚指輪への装飾にも向いています。
写真のように石留めと組み合わせても素敵です。
ちょっと何かを付け足したい時には
ミルグレインもぜひ検討してみてください。

結婚指輪 オーダーメイド 外側の装飾 レーザー刻印
・レーザー彫り
レーザー機器を使用して金属の表面に
彫りを入れていくものです。レーザー刻印とも言います。
レーザーは指輪の内側に刻印を入れる際にも使用しますが、
指輪の外側に文字やマークを入れることも可能です。
手彫りほど深く刻むことは出来ないものの、
模様の自由度や完成度はとても高いです。
結婚指輪の内側、または外側に
装飾の1つとして文字や模様を入れたい場合は
レーザー彫りもおすすめです。

 

9.まとめ


今回は色々な表面加工について
書いていきました。

ご注文いただいた婚約指輪や結婚指輪が仕上がると
お客様へのお渡し用と
会社の資料のために写真撮影をするのですが
同じ形のものでも表面加工の違いで
いろんな表情を見せてくれるんだなと感じます。

店頭に置いてあるサンプルリングとは
違う金属や表面加工でご注文いただいた
婚約指輪や結婚指輪は
今後いらっしゃるお客様の参考になるように
インスタグラムや
ウェブサイトの結婚指輪一覧や婚約指輪一覧の
詳細写真にも掲載しておりますので
是非ご覧になってみてください。

hitotsuchiインスタグラム
hitotsuchi結婚指輪一覧はこちら
hitotsuchi婚約指輪一覧はこちら

また、今回は見た目のことのみをお伝えしていますが、
つるりとした金属らしい表面や
ざらりとしたマットな表面など、
表面加工は触った感触も違います。

こちらも店頭にあるサンプルリングや
表面加工と金属を見比べられるサンプルリングで
ぜひ直接触れて確かめてみてくださいね。

オーダーメイドの結婚指輪や婚約指輪、
表面加工へのご質問等は
ご予約フォームからお気軽にお送りください。
ご来店予約もお待ちしております。
 
hitotsuchi ご予約・お問い合わせ
 
では今回はここまで。
次回もお楽しみに。

 

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書、居合道

結婚指輪・婚約指輪のオーダーメイドショップ
hitotsuchi 東京代官山 東京都渋谷区猿楽町22-13
TEL 03-6455-0972
MAIL info@hitotsuchi.com
OPEN 12:00~19:00(水、第3日曜定休)
オフィシャルサイトFacebookInstagram

Archives