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2020.08.31 Monday ジュエリーの知識

デザインの知識⑦ ローズカットとラウンドブリリアントカット

こんにちは、
スタッフの小松です。
 
今日も肩こり&腰痛と共に人生を歩んでいます。
 
農家の人が首にタオルを巻いているのは
ずっと下を向いていても首が痛くならないようにする為
というのを何かで見て、
今首にタオルをきゅっと巻いています。
 
果たして効果はあるのでしょうか。
自宅だからこそできる肩こり対策、実験中です。
 
 
 
結婚指輪 オーダーメイド ダイヤモンドの形
デザインの知識、
第七回は「ローズカットとラウンドブリリアントカット」
についてです。
 
「宝石の形」と言うと
横から見たこんな形を思い出す方が
多いのではないでしょうか。
絵文字などにもありますよね。
 
ダイヤモンドのカット 宝石のシルエット
 
他にも
宝石の形(カットやシェイプと言います)には
色々な形があります。
 
婚約指輪や結婚指輪でよく見られるダイヤモンドの形は
・ラウンドブリリアントカット(丸型)
・ハートシェイプ(ハート型)
・オーバルシェイプ(楕円型)
・ペアシェイプ(しずく型)
などが多いと思います。
 
中でも丸型のラウンドブリリアントカットは
ダイヤモンドのカットの中で
一番オーソドックスな形です。
 
58個の面を持ち
ダイヤモンドの持つ輝きを
最大限に引き出したカット。
先ほどあげたよく見る宝石の形も、
ラウンドブリリアントカットを横から見たものです。
 
そんな丸型のダイヤモンド、
実はもう一つ素敵なカットがあります。
それはクラシックな雰囲気を持つ
「ローズカット」です。
 
今回は、
同じ丸い形ですが見え方がグッと違う
「ローズカット」と「ラウンドブリリアントカット」
2つのダイヤモンドのカットについて
書いていこうと思います。
 
 
 
婚約指輪 オーダーメイド ミルグレイン
 
ダイヤモンドの形の変遷
 
その前に、ダイヤモンドがどんな形を経て
今のようなカットができたのかを
簡単に説明いたします。
 
ダイヤモンド自体は紀元前300年ごろから存在しています。
初めの産出国はインドと言われていて、
その後1700年代まではインドが産出国の天下でした。
 
ダイヤモンドにカットが
施されるようになったのは1300年代から。
それまではすごく硬くて
加工方法がなかなか見つからなかったのですが
この頃からやっとダイヤモンドを
カットしたり磨く方法が発展していきます。
 
そして1400年代、
テーブル・カットというかたちが生まれます。
原石から一番加工しやすい形だったからと言われています。
ちょっと今のダイヤモンドの形に近づいてきましたね。
 
次に2番目に加工しやすい形だった
ロゼンジ・カットが生まれます。
ヒシ形でマーキスみたいな形です。
 
ダイヤモンドのカット 1400年代のカット
 
1500年代になると、
カボションのような形にカット面がある
バラの蕾のような形のローズカットが生まれ、
貴族の中で流行します。
 
そして1600年代の末に、
ベネチアの宝石商ペルッツィによって
ラウンドブリリアントカットの元になった
オールドマインカットが生まれました。
 
ダイヤモンドのカット 1500〜1600年代のカット
 
1720年代、
今まではインドにしかないと思われていた
ダイヤモンドがブラジルで発見され、
ポルトガル人によってヨーロッパに輸入されるようになります。
さらに130年後の1866年、
今度は南アフリカでダイヤモンドが発見され
大規模な発掘が始まりました。
 
1919年、ベルギーの数学者で宝石職人の
マルセル・トルコフスキーが
ダイヤモンドの特性である「屈折率と反射」から
今のラウンドブリリアントカットを確立させます。
 
ここからはダイヤモンドラッシュです。
1870年代では100万ct以下しか採掘されなかったダイヤモンドが
南アフリカ、ロシアと次々に
新しい鉱床(鉱物が地中に局部的に集まっているもの)が発見され
1920年代は300万ct、1970年代は5000万ct、1990年代には1億ct、と
どんどん産出量が増えました。
 
産出量が増えたことにより、
手に入れることができる人が増え、
ダイヤモンドがより美しく輝くことができる
カットが登場したことにより、
ダイヤモンドはそれまで以上に
世界中の人々を魅了する宝石の一つになりました。
 
次は1500年代に登場した
「ローズカット」について書いていきましょう。
 
 
 
婚約指輪 オーダーメイド ローズカット ダイヤモンドの形
 
今でも愛され続けるクラシカルなかたち ローズカット
 
ローズカットは
1500年代に誕生します。
カボションのような半円の形に
三角形のカット面があり、24面体です。
横から見るとドーム型をしていて
バラの蕾のような形だったことから
「ローズカット」と言われるようになりました。
 
ダイヤモンドのカット ローズカット
 
電気がなかった時代、
それまでのダイヤモンドとは違って
カット面が多いローズカットのダイヤモンドは
蝋燭のわずかな明かりの中でキラキラと輝くことが注目され
貴族の間で流行しました。
 
その後1919年にさらに輝きの強い
ラウンドブリリアントカットが登場しますが
ローズカットは今でも隠れた人気を持つカットです。
 
ローズカットの魅力はなんと言っても
そのみずみずしいひかり方です。
 
ラウンドブリリアントカットが
光が輝くようなキラキラピカピカなら、
ローズカットは水面のようなキラキラ。
 
下の面が平らにカットされているので、
透明度が高いものは
光りの全てを白く反射させず、
透け感があります。
内側というよりも表面の三角形がチラチラと光り
ラウンドブリリアントカットよりも
控えめな印象です。
 
ダイヤモンドがいいけれど
少し控えめに光るものがいい、
クラシックな雰囲気の婚約指輪を探している、
ならローズカットがおすすめです。
 
続いては
「ラウンドブリリアントカット」についてです。
 
 
 
婚約指輪 オーダーメイド ラウンドブリリアントカット ダイヤモンドの形
 
王道のかたち ラウンドブリリアントカット
 
王道のダイヤモンドの形といえば
ラウンドブリリアントカット。
実はダイヤモンドの特性を
数学的に考えて作られたカットなんです。
 
ベニスの商人ペルツィが
ラウンドブリリアントカットの元となる
「オールドマインカット」を作るのは17世記のこと。
 
このカットはラウンドというよりも四角に近い形でした。
なぜ丸い形ではないのに元になったかというと
カット面がラウンドブリリアントカットと同じ58面体だったからです。
 
その後58面体のまま何度か形を変え、
1919年、ベルギーの数学者で宝石職人の
マルセル・トルコフスキーが
ダイヤモンドの特性である「屈折率と反射」から
ラウンドブリリアントカットの形を確立させました。
 
ただ、今のラウンドブリリアントカットは
1919年に作られたそのままのカットではありません。
カットはその後も進化を遂げています。
より美しくダイヤモンドを光らせるために
美しいファセットの大きさや割合、
パビリオンの丁度良い深さなどが少しずつ変わっています。
 
ダイヤモンドのカット ラウンドブリリアントカット
 
数学者が理論的に導き出した形は
正面から入った光が反射して
また正面に戻ってくるため、
ダイヤモンド自体は透明ですが
石の裏側が透けて見えることはありません。
光が当たるとキラキラと輝き、
その光が強ければさらに輝きは増します。
 
 
 
 
婚約指輪 オーダーメイド ラウンドブリリアントカット ダイヤモンドの形
 
同じラウンドブリリアントカットでも?
 
では、ダイヤモンドではない他の石に
同じラウンドブリリアントカットを施した場合
ダイヤモンドと同じような輝き方をするのでしょうか。
 
答えはいいえ。
ラウンドブリリアントカットは
ダイヤモンドが最大限輝くことを考えて作られたカットです。
もちろん、ラウンドブリリアントカットで
カットされている別の石も存在しますが、
ダイヤモンドほど強く輝く石はあまりありません。
 
それはなぜかというと、
石ごとの屈折率の違いに関係しています。
 
ダイヤモンドと他の石との屈折率を比較してみましょう。
4大貴石と言われている4石で比べてみました。
 
ダイヤモンド 2.42
ルビー・サファイア 1.76~1.77
エメラルド 1.57~1.60
 
※ルビーとサファイアはコランダムという同じ鉱物なので
屈折率も同じです。
 
他の石に比べダイヤモンドの数値が高いことがわかります。
 
他の石はダイヤモンドよりも
正面から入った光が石の中を反射して
正面にまで戻ってこないので
ダイヤモンドほど輝くことはできません。
 
さらに、ラウンドブリリアントカットは
ダイヤモンドの屈折率と反射を
数学的に捉えて産まれたカットなので
石の屈折率が違えば角度も違うので
正面に返ってくる光の量が変わってきてしまうんですね。
 
また、同じカットのダイヤモンド同士でも
プロポーションの良し悪しによって
輝き方が変わることがあります。
 
綺麗なラウンドブリリアントカットであれば、
ダイヤモンドの正面から入ってきた光が、
ダイヤモンドの中を反射して正面へ戻ってくることができますが、
例えば厚さが薄すぎたり、厚すぎたりしてしまうと、
屈折している途中で光が外に出てしまうので、
輝きが弱くなります。
 
ダイヤモンドのカット 屈折率と反射
 
ダイヤモンドの評価である4Cの一つに
「CUT」という項目があるのは
カットの形によってもダイヤモンドの輝きの強さが
変わるからなんですね。
ちなみにこの4Cという評価は
ダイヤモンドのラウンドブリリアントカットにしか
つかない評価です。
 
ラウンドブリリアントカットが
ダイヤモンドのカットの王道と言われるのは
4Cという世界共通の評価基準があったり、
ジュエリーとして扱いやすい形というのもありますが、
ダイヤモンドが一番美しく輝くために作られたカットだから
というのも大きな要因の一つではないかなと思います。
 
以上、ラウンドブリリアントカットについてでした。
 
 
 
結婚指輪 婚約指輪 オーダーメイド
 
紀元前の登場から考えると約1800年間も
硬すぎる故にカット方法が改良されず、
さらに原石があまり綺麗ではないので
カラーストーンほど注目されていなかったダイヤモンド。
 
その後の500年で宝石の頂点に立ちました。
 
現在はコンピューター制御による加工技術の向上により、
美しくカットできることが
当たり前になりつつあります。
 
今までハイジュエリーでしか見れなかったような
ファンシーシェイプのダイヤモンドなど、
見たこともない形が市場に出てくる日も
近いかもしれません。
 
今回は
「ローズカットとラウンドブリリアントカット」
についてでした。
 
次回もお楽しみに。
 
 
 
参考
GIA ダイヤモンドの歴史と伝承
ジュエリーコーディネーター3級テキスト
THE RINGS 橋本コレクション指輪 図録

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書

結婚指輪・婚約指輪のオーダーメイドショップ
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