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結婚指輪のオーダーメイド専門店が選ぶシンプルな結婚指輪 甲丸・平打ち・平甲丸
よく目にします。
一言にシンプルな結婚指輪といっても
結婚指輪は小さなものですし
シンプルなデザインって何?
どの辺が違うんだろう?と思う事も
あるかもしれません。
そこで今回はシンプルな結婚指輪について
詳しく書いていこうと思います。
制作する側の視点から
シンプルな中にも様々な違いがあるところを
お伝えできればと思います。
1.シンプルな結婚指輪が選ばれる理由
結婚情報誌などでは
「どんな結婚指輪を選んだか」という
アンケートの集計結果を見ると
「シンプルなデザインであること」が
選んだ理由の上位に入ってきます。
シンプルな結婚指輪がいいと言われる理由は
なんなのでしょうか。
結婚指輪は基本的に
ずっと同じものを身につける方が多いので
・飽きのこないもの
・年齢を重ねても着けられるもの
がいいと考え、買いに来られる方が多いですし
お店側もデザインで悩んでいらっしゃる方には
そのようにお伝えすることも多いです。
反対に結婚指輪以外にも言えますが
・今流行しているもの
・過度に変わった装飾があるもの
は時間が経つにつれて飽きてしまったり
似合わなくなってきてしまう可能性があります。
そうすると長く使うことを想定している
結婚指輪のデザインは
「装飾が少なくシンプルなものがいいのかな」
と思うのは自然なことなのかもしれません。
長い間着けるのなら
いつの自分にも似合う結婚指輪を
身につけていたいですよね。
先ほどからシンプルなデザイン、
シンプルな形を連呼していますが、
では一体シンプルな結婚指輪とは
どんなものなのでしょうか。
次の章では結婚指輪のオーダーメイド専門店が選ぶ
シンプルな結婚指輪の形をご紹介したいと思います。
結婚指輪の制作側目線なので
少しマニアックな部分もあるかもしれませんが
形について詳細に書いてみましたので
ご参考になさってみてください。
2.シンプルな結婚指輪の形
この章では
シンプルな結婚指輪の形、
特に指輪の断面の形について
詳しく書いていこうと思います。
指輪の正面から見た形も
後半部分に書いていますので
そちらもぜひご覧ください。
まず制作する側から見て
シンプルな結婚指輪の形といえばを
考えてみました。
当店が選んだのは
甲丸・平打ち・平甲丸という3つの形です。
結婚指輪を探していると
甲丸や平打ちはよく出てくる言葉かもしれません。
それではこの3つの形について
詳しく書いていきましょう。
甲丸
【甲丸の形】
断面がかまぼこ型の形をしています。
角が見えないのでつけると柔らかい雰囲気です。
表面加工によってより立体感が増します。
オーソドックスなつるんとした鏡面加工では
ツヤツヤでぷっくりとした質感を楽しめますし、
ヘアラインという規則正しくまっすぐで
マットなラインの表面加工を斜めに入れると
綱のように見えて美しいです。
【指馴染み】
指輪には指馴染みという部分があります。
ちょうど指に当たる内側の角の部分です。
平打ち、平甲丸にもいえますが、
指輪が太くなると摩擦抵抗が大きくなるので
出来るだけスムーズに指にはめられるように
指馴染みという内側にカーブしている部分を作り
指に当たる面積を減らします。
また角が丸くなっているので
つけ心地も良くなります。
当店の場合は
甲丸で通常〜太めの結婚指輪には
指馴染みをより多めに丸くします。
立ちと呼ばれる
指輪のサイドの部分がほとんどないほど
内側にカーブさせているので
太めの結婚指輪でも着脱の際の
ストレスが少なく済みます。
反対に甲丸で細い腕の結婚指輪になると
指馴染みの丸みは控えめにしています。
元々太い腕よりも細い腕の方が
摩擦抵抗が小さく着脱が楽なことと、
細い指輪の場合、指との接地面が
通常の太さの結婚指輪よりも減ってしまうので
指輪の安定感を考えると指馴染みを丸くしすぎない方が
良いと考えているからです。
【甲丸の結婚指輪の雰囲気】
hitotsuchiセミオーダー結婚指輪
左からHMR056、HMR035、HMR022(裏側)
太くなってもどこか優しげな印象は変わりません。
細くなれば華奢で可愛らしい印象になります。
甲丸といえばザ・結婚指輪
という印象を受けるかもしれませんが
金属の色が変わるとまた雰囲気が
違って見えてくるかもしれないと思い
写真はK18イエローゴールドで揃えてみました。
甲丸ははるか昔から親しまれてきた形でもあり
普遍的な美しさを持っています。
太さや厚みなど細かいところにこだわると
よりご自分の指に合う
結婚指輪が見つかると思いますよ。
【内甲丸と楕円】
また内甲丸という形もあります。
その名の通り、内側を甲丸にしている形です。
甲丸型の内甲丸だと
断面はラグビーボールのような形になります。
内甲丸は甲丸だけでなく、
平打ちなど他の形にも施されることがあり、
形状上、摩擦抵抗が小さいので
採用しているお店は結構あります。
さらに楕円という形もあり、
こちらは内甲丸のものに比べると
立ちの部分がなくなります。
実際に着けてみると
指と指輪の端が少し浮いているような状態です。
【結婚指輪の厚み】
平打ち、平甲丸にもいえますが
指輪の太さが太くなると
比例して厚みもどんどん出てくるというわけではなく
ある程度までしか厚みは出しません。
あまり厚くし過ぎてしまうと
隣の指を圧迫してつけ心地が悪くなってしまうためです。
平打ち
断面は長方形です。
甲丸と違って外側の面が真っ直ぐなので
シャープな印象になるものが多いです。
平打ちの中でも角をしっかり出すのと
角を少し取るのでも印象が変わります。
角をしっかり出すと
無機質な雰囲気になります。
機械の部品のような印象ともいえます。
反対に角を取り少し丸みを持たせると
平打ちでも丸みのある印象になり、
不規則な歪みなどを加えると
クラフト感や手作り感を感じられます。
甲丸同様に、平打ちにも
指馴染みという部分を作ります。
立ちの面積は甲丸ほど小さくないので
無くなる事はなく
指に接している角の部分を丸くします。
指馴染みを作る理由は甲丸と同じで
着脱の楽さとつけ心地の良さのためです。
【平打ちの結婚指輪の雰囲気】
hitotsuchiセミオーダー結婚指輪
左からHMR001、HMR043、HMR062
甲丸は幅が広くなっても
どこか柔らかい雰囲気を残しますが、
平打ちは幅が太くなると
がっしりとメンズライクな印象になります。
角を少しとって緩やかな平打ちにしても
ボリューム感が多い分かっこいい雰囲気はそのままです。
反対に薄く細くなるにつれ
ミニマムデザインで
すっきりとした結婚指輪になっていきます。
何も装飾をつけなければ
かなりシンプルな印象の指輪です。
好みや個人差があると思いますが、
どこか機械的な印象と
まっさらな平面を見ると
私は一番シンプルで無機質なのは
平打ちの指輪だと思います。
平甲丸
平打ちと甲丸を掛け合わせた形です。
断面で見ると平打ちの上部分を
甲丸のように角を落として
山なりにした形をしています。
甲丸よりもフラットで
平打ちよりも柔らかい印象です。
ある意味いいとこ取りですね。
フルオーダーのお客様では
甲丸と平打ちの間をとって平甲丸にされる方も
割といらっしゃいます。
どこで平打ちや甲丸に切り替わるのか?
というと
厳密に厚さなどの規定はないので
お店ごとに多少差はあるかもしれません。
【甲丸・平打ち・平甲丸の比較】
最後に今回ご紹介した
三つの形を並べてみました。
形は全てストレートです。
※シルバー素材のリングとPT素材のリングを使っているため、
色に差があります。
左から甲丸・平打ち・平甲丸
下から甲丸・平打ち・平甲丸
今回は主に断面で見た
結婚指輪の形をご紹介しましたが、
指輪にはもう一つ形の見方があります。
ストレートやV字やカーブといった
正面から見た時の形状です。
シンプルな結婚指輪であれば
①〜③の形状が望ましいと思います。
お分かりの方も多いと思いますが
ストレートが一番シンプルです。
ですが、
カーブにしたり、V字にしたからといって
ものすごく華やかになる
というわけでもありません。
ご自身の指の形から合うものや
好きな形を選んでみてください。
婚約指輪との重ね付けを
考えられている方は
婚約指輪の形状と合うものを
お勧めいたします。
3.シンプルなまま二人だけの結婚指輪に
さて、ここまでで
シンプルな結婚指輪の形を
ご紹介してきました。
ですがそれだけでは物足りない、
せっかく作るのなら
二人だけの特別な何かが欲しい方も
いらっしゃいますよね。
今回のテーマはシンプルな結婚指輪なので
シンプルなデザインを崩さず
かつ特別感を出すための
工夫をお伝えしようと思います。
おすすめなのは下記の2つです。
・数石の石を埋め込む
・刻印を入れる
【石の埋め込み】
石を埋め込むのってシンプルでは無くなるのではないか?
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが
大きさ、種類、数、場所、を考えれば
シンプルなデザインを崩すことなく
特別な一本にすることができます。
【石の大きさ】
石の大きさは小さめが無難ですが、
指輪の太さもあると思うので
指輪の太さに合った大きさの石をおすすめいたします。
小さめの石は1.0~1.5mmくらいです。
石単体ではかなり小さいと思われると思います。
結婚指輪の太さは様々ですが、
平均的な太さの3.0mm幅の指輪に1.5mmの石を埋めると
リング幅の半分を石が占めていますので
小さすぎる感じはしないかなと思います。
【石の種類】
石の種類も白いダイヤモンドだけではなく、
カラーダイヤモンドや
誕生石などを入れても素敵ですよ。
白いダイヤモンドはどんな金属でも合いますし、
シルバー色の金属には寒色系、
ゴールド色の金属には暖色系を入れると
一体感が出て色が馴染みますが、
反対にシルバー色×暖色
ゴールド色×寒色でも素敵です。
同系色よりは少し華やかになりますが
デザインを邪魔するほどではないと思います。
【埋め込む場所】
基本的には外側にも内側にも
石を埋め込みすることは可能です。
少し物足りないなと感じたら外側に、
外側のシンプルさを崩したくない場合は
内側への石の埋め込みをおすすめします。
※石の埋め込み場所は
お店によっては外側には入れられないところもあります。
気になるお店にはご相談してみてください。
【石の数】
石の数は指輪の厚さや幅にもよりますが
最小で1石から最大で指輪一周に
石を留めることもできます。
一周とめた指輪をフルエタニティと言います。
半周ではハーフエタニティです。
フルエタニティもハーフエタニティでも
指輪が隠れる部分まで石が埋まるので
シンプルというよりは
華やかな印象の結婚指輪になると思います。
シンプルな結婚指輪の場合、
石で埋まる面積を考えると
外側は5石くらいまででしょうか。
ダイヤモンドの数は奇数であれば
指輪の中央部分ににダイヤを埋め込めます。
左右のバランスの良さを考えると
奇数になることが多いです。
また石の留め方の種類と
少し離して留めるか
並べて留めるかでも印象は変わります。
以上石の埋め込みについてでした。
【刻印を入れる】
刻印にはいくつか種類がありますが、
一般的なのは手打ち刻印かレーザー刻印です。
手打ち刻印は
スタンプのような形をした刻印を
一つ一つ手で打ち込んでいきます。
基本はアルファベットで記号も数種類あります。
日本語や漢字はありません。
レーザー刻印は
レーザーを使って指輪の表面に傷をつけて
文字などを彫っていく方法です。
データで作れるものであれば
基本的にはどんな文字や記号でも入れることができます。
どちらの刻印も
外側・内側問わず施すことはできますが、
今回はシンプルな結婚指輪なので
刻印の場所は内側をおすすめします。
文字だけのシンプルなものでしたら、
手打ち刻印は味があっておすすめです。
押し込むときにできるぷくっとした金属の丸みや
一つ一つ打ち込んでいるので
若干の不規則さが味の一つとも言えます。
好きなフォントや日本語、
オリジナルのイラストなどを入れたい場合は
レーザー刻印をお勧めします。
レーザー刻印はデータに起こせるものであれば
基本的にはどんなものでも刻印できます。
※ただし有名なキャラクターなどはデータが作れたとしても
著作権法に引っかかてしまうので刻印することはできません。
指輪の内側は
普段はお二人にしか見ることができない部分です。
外側はシンプルな結婚指輪で
内側には二人だけの刻印を入れるのも素敵ですよ。
以上刻印についてでした。
4.まとめ
今回はシンプルな結婚指輪の形状と
その中でもオリジナリティを出すための方法を
ご紹介していきました。
書いてみて気がついたのは
シンプルな結婚指輪であっても
選べる部分がいくつか、
というか結構ありましたね。
形だけでなく
指輪の幅や厚みまで指定したいとなると
フルオーダーの結婚指輪に限られてきますが、
既製品やセミオーダーの結婚指輪にも
一本一本に作りの違いや
こだわる部分の違いが出てきます。
ぜひお二人に合った
素敵なシンプルな結婚指輪を
見つけてみてください。
書いた人
スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書
hitotsuchi 東京代官山 東京都渋谷区猿楽町22-13
TEL 03-6455-0972
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OPEN 12:00~19:00(水、第3日曜定休)
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