BLOG ・ ブログ


2021.03.05 Friday ジュエリーの知識

3月の誕生石 珊瑚

こんにちは、
スタッフの小松です。

 

突然ですが今年は挑戦の年として
居合道を始めました。

 

最初は怖かったのですが
稽古しているうちに
何も考えず無心で日本刀を振っているのが
不思議と心地よかったです。

 

実は日本刀はジュエリーと少し関係があります。

 

日本には彫金という金属加工の技術があるのですが
日本刀の鍔や目貫と言われる
刀の一部を作っていた彫金師が
廃刀令で職を失ったのをきっかけに
装飾品を作り始めたのが
日本の装飾品の始まりという説があります。

 

あたらしく踏み込んだ世界で
知っているものに出会うと
世間は狭いなあなんて思ってしまいます。

 

 

 

3月 誕生石 サンゴ 珊瑚 
今回は3月の誕生石、
珊瑚について。

 

3月の日本の誕生石には
アクアマリンもあります。
別の記事でご紹介しているので
そちらもぜひご覧ください。
3月の誕生石 アクアマリン

 

珊瑚は女性のお守りや
産後(=珊瑚)のお祝いに
贈られることもあります。
語呂合わせで結婚35周年を
珊瑚婚式とも言います。

 

宝石言葉は
「確実な成長」「家長の威厳」
「長寿」「聡明」「幸福」。

 

昔ばなしの中で
金や銀のお宝が出てくると
必ずと言っていいほど
珊瑚の原木が小判の間にブスッと刺さっているのも
日本人ならではの印象ではないでしょうか。

 

 

 

一番身近にある珊瑚といえば
海の浅瀬に広がる珊瑚礁かなと思います。

 

海なし県で育ったので
あまり海の思い出がない私でも
珊瑚礁と聞くと
透明度の高い南国の海で、
色とりどりの魚の隠れ蓑として
様々な形で私たちを楽しませてくれている
美しい海になくてはならない存在のような気がします。

 

美しい海に欠かせない
自然界が作り出す美術品のような珊瑚礁。

 

ですが今回ご紹介する
誕生石として扱われている珊瑚は
実は浅瀬の珊瑚礁にはありません。

 

宝石の珊瑚は
青い美しい海とは真逆の
冷たく暗い海の底、深海で採れます。

 

せっかくなのでこの2つの珊瑚について
詳しく書いてみます。

 

 

 

ちょっと理科のようなことをいうと
珊瑚は植物ではなく刺胞動物です。
イソギンチャクやクラゲと
同じような構造を持っています。

 

あんな硬そうなのに
イソギンチャクやクラゲと一緒と言われても
不思議かもしれませんが、
珊瑚にも一応口や触手などがあります。

 

浅瀬にある珊瑚礁を作り出している珊瑚は
造礁サンゴといい、
珊瑚がたくさん集まってできていて
褐虫藻という藻を共生させています。
この藻が光合成をして光合成産物を作り
それを栄養として珊瑚に供給してくれるので
光合成するための太陽の光が届く
浅瀬に生息しています。

 

反対に、
宝石に使用される珊瑚は
非造礁サンゴといいます。
造礁サンゴと違い
単体で褐虫藻と共生していないため
光の届かない海の底で
触手を使ってエネルギーを補い
ゆっくりと成長しています。
養殖はできず立派な原木になるまでは
100年以上を要するそうです。

 

この深海に生息している珊瑚で
宝石として扱われている珊瑚は
アカサンゴ、ベニサンゴ、
シロサンゴ、モモイロサンゴなどです。
総称で宝石珊瑚とも言われています。

 

形は珊瑚礁の岩のようなサンゴとは違い、
葉のついていない枝のような形をしています。

 

珊瑚の色は主に
赤、ピンク、白で構成されていますが、
個体によって色の濃淡があり
宝石として最高級の色と言われているのは
ox blood(オックス・ブラッド)、
ヨーロッパではtosa(トサ)とも呼ばれることもあり、
日本では血赤(ちあか)と呼ばれる
濃い赤色の珊瑚です。

 

写真がないのでここでお見せできないのが残念ですが
血のようなとっても深い赤い色をしています。

 

また薄いピンク色の珊瑚は
とても可愛らしい色をしていますが
日本では「ぼけ」と呼ばれています。
なんだかひどい言い方ですね。

 

「ぼけの花の色」からきたとも言われているし、
「色がぼけているから」とも言われていてますが、
真相はわかりません。

 

ついでにヨーロッパでは
薄いピンク色の珊瑚は
エンジェルスキン(天使の肌)
と言われていて人気だそうですよ。

 

珊瑚の産地は地中海でも取れますが、
世界的に多いのは日本近海です。
特に土佐(高知県)は水揚げの量が多く
土佐珊瑚や高知珊瑚と呼ばれることもあります。

 

 

 

3月 誕生石 サンゴ 珊瑚 
【珊瑚の取り扱い】

 

指輪、ネックレス、ピアス等
様々なジュエリーで使用されていますが、
硬度は3.5〜4.0なので
石の中では非常に柔らかい宝石です。
硬いものにぶつけたり
潰してしまわないよう気をつけてください。

 

形は球体や丸いフォルムの方が多いです。
反対にダイヤモンドのような
ブリリアントカットをすることはありません。

 

強度としては弱いですが
柔らかいので表面を細かく彫ることができ
彫刻や帯留めなどにも加工されます。
和装などを楽しまれる方には
身近な宝石かもしれませんね。
細かい彫りを施しているものは
溝に汚れが溜まりやすいので
埃がかからない場所に保管しましょう。

 

また珊瑚の成分は
ほとんどが炭酸カルシウムでできています。
酸性のものに弱く人間の汗や皮脂でも
長時間放置すると変色を起こします。
使用後は柔らかい布で拭いてから
しまってください。

 

 

 

今回は3月の誕生石
珊瑚についてでした。

 

今回も珊瑚について調べていくうちに
新しい発見が沢山あったのですが、
特に宝石珊瑚が深海に生息していることが
とても不思議でした。

 

深海に住む生き物たちは
目が退化していたり
目の代わりに触覚がとても敏感になっていたり
時に発光するものなど
周りが見えない前提の進化を遂げているのに
(むしろ進化していないのかもしれませんが)、
どうして珊瑚は何も見えない深海で
鮮やかな赤色になったんでしょう。
地球には知らないことがまだまだ沢山ありますね!

 

今回はここまで。
次は5月に誕生石として
翡翠をご紹介する予定です。
緑の美しい石です。
次回もお楽しみに。

 

 

 

参照
ジュエリーコーディネーター3級テキスト
Wikipedia サンゴ

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書

結婚指輪・婚約指輪のオーダーメイドショップ
hitotsuchi 東京代官山 東京都渋谷区猿楽町22-13
TEL 03-6455-0972
MAIL info@hitotsuchi.com
OPEN 12:00~19:00(水、第3日曜定休)
オフィシャルサイトFacebookInstagram

Archives