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2022.07.10 Sunday ジュエリーの知識

7月の誕生石 スフェーン

こんにちは、
スタッフの小松です。
国立博物館の「宝石展」に
6月初めに行ってまいりました。
 

入り口にあったアメジストのジオードは
2mとなかなかの大きさでした。
周りの凝灰岩がちゃんと白くて、
ついマインクラフトを思い浮かべた人も
いらっしゃるのではないかなと思います。
 
原石エリアでは3種類の岩からできる
大きな原石の塊に興奮です。
宝石の種類によって原石の形が違うのが
よくわかる展示だったと思います。
 
また、本ですごい綺麗と書かれつつも
写真でもあまり見たことがなかった
カシミール産の大粒のサファイア。
伝説みたいに扱われていたので
綺麗な大粒の石を生で拝めて感動しました。
澄んだ紺というよりは
青く染めた絹のような柔らかい色でした。
 
見に行った熱が冷める前に
デザイナーが買ってきてくれた
図録を読ませてもらおうと思います。
 
 

 
 

1.スフェーン


7月の誕生石スフェーン
今回は2021年に
新しく追加された7月の誕生石
スフェーンについて。
 
スフェーンは新しい誕生石の中でも
おそらくあまり耳にしたことがない
宝石なのではないかと思います。
 
スフェーンは宝石名で
鉱物名はチタン石、チタナイトと言います。
別名楔石(くさびいし)とも言い、
結晶の形が楔に似ているところから名付けられました。
宝石名のスフェーンという名前の由来は
ギリシャ語で楔という意味の
Sphenos(フェノリス)から来ています。
チタン石という名の通り
組織にチタンを含む宝石です。
 
宝石として見かけるのは
イエロー・グリーン・ブラウン・オレンジの石で
中でもクロムが多く入った濃い緑色が
希少とされています。
また、ライムグリーンのような明るい色も
なかなか他の宝石では見かけない
鮮やかな珍しい色ですよ。
 
スフェーンは強い多色性を持っており、
1つの石の中に何色もの色を見ることができます。
屈折率が高いため輝きが強く
カットされた石の輝きは
ダイヤモンドにも匹敵すると言われています。
 
また、ダイヤモンド以上に
「ファイア」を見せてくれる石でもあります。
 
「ファイア」とは光の反射で起こる
虹色の輝きのことをいいます。
 
ダイヤモンドに光を当てて
傾けたりしながら見ていると
白ではない赤、青、黄色、オレンジ色の
輝きが現れたらファイアです。
他の宝石、例えばルビーやサファイアなどには
見ることができません。
 
ですがスフェーンは
ダイヤモンド以上に虹色の輝きを
石の中に見ることができます。
このファイアがより強く出ていると
質の良い石と言われています。
 
ここまでスフェーンとダイヤモンドには
共通点が多いのですが全く違う点が1つ。
 
実はスフェーンは
モース硬度という傷つきにくさを表す数値が
10段階中、5〜5.5と低く、
そして脆いという性質を持っています。
ダイヤモンドは世界一硬い宝石なので
モース硬度は10段階中、10です。
また劈開性という性質はあるものの
決して脆い石ではないので、
その点は正反対ですね。
 
傷つきやすく脆いという特徴があるため
途中で崩れるためか原石もそこまで大きくはなく、
インクルージョンも含まれることが多いようです。
なので大きい結晶になると希少性も高くなります。
 
ジュエリーに向いている宝石か?と言われると
硬さと脆さの面でそこまで向いていないのですが
1787年に発見されてから
そのダイヤモンドにも匹敵する輝きの美しさで
人々を魅了してきました。
 
宝石言葉は永久不滅。
なんだか力強い言葉ですね。
先ほども書いた通り
和名では楔石という名がついていて、
楔とはV字形に尖った木片や鉄片のことを言います。
楔を打ち込むと
半分に割られてしまいそうな気もしますが、
楔には
「二つのものを固くつなぎ合わせるもの、きずな」
という意味があるので
お二人の絆を結ぶ石として
ブライダルにも向いています。
 
お手入れは使ったら軽く拭く程度に。
汚れが気になった時にだけ
ぬるめのお湯で洗った後
よくタオルドライしてください。
その際に擦ったり
叩いて水気を飛ばすことはせず、
水滴を取るようにして
優しく拭いてあげてください。
 
またジュエリーを洗う道具に
超音波洗浄機というものがあるのですが
割れやかけの原因になるため
スフェーンは超音波洗浄機では
洗わないでください。
 
また、日光に当て続けると
褪色(色が無くなること)してしまうことがあるので
使い終わった後は
日光に当たらないところに
しまってあげてください。
 
とても綺麗で珍しい石なのですが
貴重でかつ割れやすいところがあるので
お取り扱いはとても大切にしてあげると
良いと思います。

 
 

2.まとめ


今回は新しい7月の誕生石
スフェーンについて書いていきました。
 
スフェーンは
肉眼で見るととても綺麗な石です。
ジュエリーショップでは
あまり扱わない珍しい石なので
見かけることは少ないかもしれませんが
モスグリーン色、輝きの強い石、
珍しい石がお好きな方は
きっと好きなんじゃないかなと思います。
 
偶然見かけた際は
ダイヤモンドにも負けない輝きを
ぜひ見てみてほしいです。
 
今回はここまで。
次回は8月の新しい誕生石
スピネルについてです。
 
 今まで紹介してきた石でも
「◯◯に似ていたので間違われてきました」と
何度か書いてきているのですが、
こちらの石も
いろんな石に間違われてきました。
 
それでは次回もお楽しみに。

 
 
wikipedeia チタン石
コトバンク フェノリス
GIA ダイヤモンドのカット:印象の要因

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書、居合道

結婚指輪・婚約指輪のオーダーメイドショップ
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