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2020.11.08 Sunday ブライダルコラム

結婚指輪を左手の薬指に着ける理由

日本では結婚指輪や婚約指輪は
左手の薬指につけるのが
オーソドックスな着け方です。
 
でも何故「左手の薬指」なのでしょうか?
 
今回は結婚指輪・婚約指輪が
左手の薬指に着けることになっていった理由について
書いていこうと思います。
 
 

 
 

1.何故左手の薬指に着けるようになったのか


オーダーメイド 結婚指輪 左手
結婚指輪を買ったら、
どの指に指輪を着けますか?
 
ほとんどの方は左手の薬指に
指輪を着けられると思います。
 
結婚指輪を着ける指は
法律で決まってるわけではないので
どの指に着けても良いのですが、
自然と左手の薬指に、と思いますよね。
 
もちろんお店側も
左手の薬指が結婚指輪を着ける指としています。
 
では世界では結婚指輪をどの指に着けているのかというと
実は結婚指輪は右手の薬指という国もたくさんあるんです。
 
・左手の薬指に結婚指輪を着ける国
アメリカ・イギリス・フランス・イタリアなど

 
・右手の薬指に結婚指輪を着ける国
スペイン・ドイツ・オーストリア・ポーランド
ギリシャ・ロシアなど

 
宗教によっても違うので
国ごとにきっぱりと分かれている
というわけではないようですが、
 
意外とたくさん
結婚指輪を右手に着ける国がある
ということがお分かりいただけると思います。
 
 
 
では日本の結婚指輪は
何故左手の薬指に着けるようになったのでしょうか。
 
最初に言ってしまうと
色々調べてみても残念ながら、
日本の結婚指輪が左手の薬指になった明確な理由は
わかりませんでした。
 
日本は世界でも珍しく
長い期間いわゆるジュエリーというものがない国でした。
 
最初から全くなかったわけではなく
古墳時代までは首飾りや耳飾りや腕輪などもあり
遺跡から出土したりしているのですが、
その後明治時代に外国の文化が入ってくるまで
ぷっつりと消えてしまいます。
 
江戸時代には櫛や簪など
日本特有の頭に特化した装飾品はあったものの、
耳飾りや指輪やネックスレスなどがないのです。
 
日本で結婚指輪の文化が始まったのは
明治時代からと言われており、
外国から入ってきたと言われています。
その頃のキリスト教式の結婚式では
指輪の交換が行われていたそうで、
大正時代には結婚指輪のカタログもあったようです。
 
最初から結婚指輪というものが
日本の文化の中には無く、
明治時代あたりに外国から入ってきたもの
ということだけは確かなのですが、
 
どうして日本の結婚指輪が
右手ではなく左手の薬指に
着けるようになったのかという
明確な答えは見当たりませんでした。
 
 
 
元々日本にはなかった結婚指輪の文化。
では次章はもう少し掘り下げて、
左手の薬指が特別に選ばれた理由について
書いていこうと思います。

 
 

2.古代ギリシャ、古代エジプトの左手の薬指の意味


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結婚指輪を着ける左手の薬指。
左手の薬指にはどんな意味があるのでしょうか。
 
ここでは古代ギリシャと古代エジプトの
2つの説について書いていきます。
 
 
 
・古代ギリシャ(紀元前40万年前〜紀元前30年)
現在の医学では動物は
脳でものを考えるとわかっていますが、
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは
心は心臓にあるとしていました。
※これは古代ギリシャ全ての考え方ではなく、
アリストテレスの考えで
心は脳にあるとしていた学者もいます。
 
また、古代ギリシャでは
左手の薬指には心臓に繋がる太い血管が通っている
とされていたそうです。
 
心臓=こころ、気持ちや感情を司るものであり、
心と繋がる薬指ということから
薬指に指輪をはめる事によって
相手の心を繋ぎ止めておけると考え
左手の薬指に指輪をはめるようになった
という説があります。
 
 
 
・古代エジプト(紀元前4000年前〜紀元前30年)
一説には指輪交換の発祥の地
と言われているエジプト。
 
古代エジプトでは
「イブ(心臓)」を魂の重要な部分の一つとしており、
脳ではなく、心臓が感情や思考などを司っていると
考えられていたそうです。
 
また女性の左手薬指には心臓につながる太い血管が
通っていたと考えられており、
今のような金属の指輪ではなく
麻の紐のようなものを巻き
女性の心を繋ぎ止めていたとされていて
これが婚約指輪の起源とも言われています。
 
ただし、現在のエジプトの主な宗教はイスラム教です。
イスラム教で左手は不浄の手とされているので
結婚指輪は右手の薬指に着けるそうです。
 
 
 
以上、古代ギリシャと古代エジプトの説でした。
 
諸説あるそうですが、
かなり昔から心臓(心)とつながっている指として
左手の薬指が選ばれてきたことが伺えます。
 
次の章は、
結婚指輪の起源とされている
古代ローマの鉄の指輪について
書いていこうと思います。

 
 

3.結婚指輪の起源 古代ローマの鉄の指輪


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結婚の証は何故
「指輪」になったのでしょうか。
 
それは古代ローマの鉄の指輪が元になっている
とも言われています。
 
古代ローマでは結婚を約束するという意味で
男性から女性へ鉄の指輪が贈られていました。
※ついでにこれも婚約指輪の起源と言われています。
 
鉄の指輪が贈られた理由としては
2つの説をご紹介します。
 
一つは商取引成立の際に指輪を交換するしきたりから
婚約者に指輪を送る習慣が生じたと言う説。
 
結婚は家同士の契約という意味があったため、
結婚し指輪をはめる事によって約束を守るという意味で
鉄の指輪を使ったと言われています。
 
もう一つはギリシャ神話の
プロメテウスのお話が元になった説です。
出所が定かではないのですが、
興味深かったので書いてみます。
ざっと説明するとこんなお話です。
 
プロメテウスがゼウスの怒りをかい、
岩山に磔にされてしまいます。
磔を許すかわりに
「ゼウスへの服従の誓い」という意味の
指輪をはめさせました。
 
誓いに指輪を使ったということから
結婚の約束に鉄の指輪を使うようになったということです。
 
 
 
この鉄の指輪は
最初は男性から女性へ渡すのみでしたが、
男女が指輪を交換するようになり、
指輪の素材が金になったりして、
9世紀にローマ教皇ニコラウス1世によって
結婚の際に交換する指輪は結婚の証とされました。
これが今の結婚指輪の起源と言われています。
 
前章の左手の薬指を心と考えた説と
今回の結婚指輪の説が混じり合ったところが
左手の薬指に結婚指輪をする
というふうになっていったのだと思います。
 

 
 

4.まとめ


今回は歴史と文化が入り混じった
日本史と世界史のようなコラムでしたね。
 
日本の結婚指輪が
何故左手の薬指になったのかが
謎のままなのがちょっと悔しいところですが、、、
もしかしたら、大きな図書館で調べれば
何か見つかるかもしれません。
 
ちなみに
日本語で4番目の指輪が「薬指」と呼ばれるのは
あまり使われず清潔で
薬を塗る・混ぜる指だったからといわれています。
あまり使わない指でかつ右利きの方が多いので
左手の薬指なら指輪をしても邪魔にならないから
という説もありましたよ。
 
結婚指輪の歴史には諸説あり、
もしかしたら他にも起源とされているものが
あるかもしれません。
 
これからも面白そうなお話を見つけたら
色々調べてご紹介したいと思います。
 
次回もお楽しみに。
 
 
 
参考:
THE RINGS 橋本コレクション指輪 図録
指輪 古代エジプトから20世紀まで
ジュエリーの世界史 山口遼
Wikipedia
古代エジプト人の魂古代ギリシャ古代エジプト古代ローマ

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書

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