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2022.03.24 Thursday ジュエリーの知識

3月の誕生石 ブラッドストーンとアイオライト

こんにちは、
スタッフの小松です。
 
上野の国立科学博物館で
「宝石 地球がうみだすキセキ」
という特別展が2/19~6/19まで
開催されているそうです。
「宝石 地球がうみだすキセキ」webサイト
 
カットされる前の
自然界の中での宝石や
取り扱い自体が少ない希少石、
なかなかお目にかかれないハイジュエリーなどの
展示もあるとのこと。
展示方法も美術展とは違う
科学的な観点から宝石を楽しむことができるようです。
 
これは行くしかありませんねと
心に強く決めております。図録は買います。
会期も長いのでご興味のある方は
宝石の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
 
 

 
 

1.ブラッドストーン


3月の新しい誕生石 アイオライト
今回は2021年に
新しく追加された3月の誕生石
ブラッドストーンとアイオライトについて。
 
3月の日本の誕生石には
アクアマリンと珊瑚もあります。
別の記事で紹介しているので
そちらもぜひご覧ください。
3月の誕生石 アクアマリン
3月の誕生石 珊瑚
 
 
3月の誕生石、
1つ目はブラッドストーン。
ブラッドストーンは上の写真のような
深い緑の中に赤い斑点を散らした
不思議な見た目をしています。
 
和名では血石(けっせき・ちせき)、
血玉石(けつぎょくせき)、
血玉髄(けつぎょくずい)などと呼ばれています。
 
赤い斑点模様が「血」のように見えるので
名付けられたようですが
もちろんこの斑点は血ではなく酸化鉄です。
 
別名はヘリオトロープといいます。
古代エジプトの太陽の町という意味の
ヘリオポスという場所で採れたことから
古代ギリシャ語で「太陽に向かう」という意味の
ヘリオトロープと名付けられたと言われています。
※現在のブラッドストーンの主要産出国はインドです。
 
ちなみに同じヘリオトロープという名前の花があり
こちらはギリシャ神話が元になっていて
太陽神を想って太陽を見つめ続けた女神が
そのまま花になってしまったことから
ヘリオトロープと名付けられたそうです。
 
ブラッドストーンには
血にまつわる様々な歴史や伝説が残っています。
 
古代エジプトで
赤い部分は冥王の妻イシスの血であるとされ
護符として人気があったという歴史や、
 
中世のキリスト教徒の間で
イエスキリストが十字架刑になったときに
流れた血が足元にあった石に染み込んだ、
という言い伝えが広まり
キリスト教においてキリストの血を含んだ
神聖な石として取り扱われたという歴史もあります。
 
他にも兵士が止血のお守りとして戦場へ持っていった、
血を増やすため妊婦さんのお守りとして扱われていた、
血を綺麗にする効果があるとされていた、など
血にまつわるお話が多数残っています。
 
血と聞くとあまり良いイメージではないかもしれませんが
前向きで持っていると生命力が溢れたり
体にいい石だと信じられてきたようです。
 
なので、特徴的な見た目ですが、
精神的に強くなる、健康と若さを保つことができる
幸運をもたらすなど、
沢山の良い言葉が付けられています。
 
ブラッドストーンのモース硬度は6.5〜7で
細かい水晶が集まった玉髄です。
ジュエリーとしては硬く扱いやすい方ですが、
ビーズ状のものやカボションというドーム型のものが多く
今までの誕生石のように指輪の内側に入れるのは難しそうです。
特徴的な深い緑色と赤い斑点を楽しむなら
石はある程度の大きさがあると良いですよ。
石に彫刻が施されているものもあり
海外では印台リングにはめこむ石としても人気のようです。

 
 

2.アイオライト


3月の新しい誕生石 アイオライト
2つ目の新しい3月の誕生石は、
アイオライトです。
こちらはすみれ色の透明石です。
 
アイオライトの名前は
ギリシャ語の紫を意味する
イオスに由来するとされています。
 
宝石として扱われているものは
青紫色の断面が正面に来るようにカットされているので
青一色の石に見えますが、
アイオライトには多色性という性質があり
違う角度から見ると
淡黄色〜グレー〜無色の石にも見えるという
ちょっと不思議な特徴を持っています。
 
また、
硬度は硬めの7〜7.5ですが劈開性と言う性質があり
一定の方向からの衝撃に弱いので
使う頻度が高い指輪などにはあまり向いていません。
なのでぶつかる可能性の低い
イヤリングやネックレスなどに選ばれやすい石です。
 
別の名前ではコーディエライト、
和名では菫青石(きんせいせき)と言います。
 
日本には特徴的な菫青石が見れる場所があります。
見た目は冒頭の写真のような菫色の透明石ではありませんが
京都府亀岡市、稗田野の菫青石仮晶というもので
別名桜石ともいい、とても可愛らしい石です。
 
この桜の模様の石がどのようにできるかと言うと
元々菫青石は六角柱状結晶という
六角形の柱のような形で出来るのですが
それが仮晶(鉱物の結晶が保たれたまま中身が他の鉱物に成り代わる現象)
によって白雲母や緑泥石に変わり、
さらに岩石の部分が風化することによって
結晶が分離して特徴的な形が浮き上がります。
その見た目が桜の花のようだったため
昔から桜石と呼ばれ親しまれていたそうです。
※稗田野の菫青石仮晶は国の天然記念物に指定されていますので
採取などは行えません。
 
すみれのような色を持ち、桜のような一面もある
アイオライトのお話でした。

 
 

3.まとめ


今回は新しい3月の誕生石である
ブラッドストーンとアイオライトについて
書いていきました。
 
実は海外にはアイオライトにまつわる
面白い伝説が残っていて
 
海外ではバイキングがアイオライトの薄片を
曇りの日の太陽の位置を知るための道具
として使用していたというの伝説があるそうです。
そのためかアイオライトの石言葉には
「道を示す」や「海の旅の安全」という言葉もあります。
 
このお話は伝説なので
真相はいかに…?ですが、
 
バイキングが航海の際に地図を見るため
石を使用していたというのは本当のようです。
 
バイキングと同じように
方解石といういしを使用して曇りの日の太陽の位置を調べる方法を
実際に検証し発表したという記事を見つけました。
AFPBB News
バイキングの伝説の石「サンストーン」、実際の航海に使用 仏研究

 
方解石は石を通して見ると
文字などが2重に見える石なので
物が2重に見えたところで
使い道はないんだろうと思っていたのですが
 
この記事を読んで
こんな使い方があったのか!すごい役に立つ石!と
思い直しました。
またその利用方法に気がついた
昔の人もすごいなあと思います。
 
※サンストーンとありますが
このサンストーンは
ムーンストーンやラブラドライトの仲間の
サンストーン」とは違います。
 
地図アプリがなくとも
大海原を航海していたバイキングや
昔の人たちに尊敬の念を抱きつつ
今回の記事を締めたいと思います。
 
次回は4月の新しい誕生石
モルガナイトについてです。
 
薄ピンク色の透明石で、
可愛らしい見た目ですよ。
 
次回もお楽しみに。
 
 
GIA ブラッドストーン/アイオライト
コトバンク ブラッドストーン
Wikipedia 菫青石/仮晶/サンストーン/方解石
稗田野の菫青石仮晶
AFPBB News

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書、居合道

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