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2020.12.18 Friday ジュエリーの知識

12月の誕生石 タンザナイト

こんにちは、
スタッフの小松です。
 
早いもので
今年ももうすぐ終わりですね。
 
毎月1つ、誕生石をご紹介してきましたが
2020年はこれで最後となります。
 
嬉しいことに
ここに書くために調べることで
石のへの興味や知識が沢山増えました。
 
それでもまだまだ
知らないことが多い石の世界。
来年も日々勉強していきたいと思います。
 
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今回は12月の誕生石、
タンザナイトについて。
 
タンザナイトは
他の石に比べると新しい石で
発見されたのは1967年とごく最近のこと。
 
名前の由来は
アフリカのタンザニアで
見つかったことから
有名ブランドのティファニーが
タンザニアに敬意を表して
「タンザナイト」と名付けました。
 
タンザナイトの産地は、
タンザニアの北部にあるメレラニヒルズです。
今までご紹介した誕生石の中では珍しく、
世界で唯一の商業的に採掘している産地です。
  
宝石言葉は、「誇り高き人」「冷静」。
鉱物種名はゾイサイトと言い、
和名では灰簾石(かいれんせき)と言います。
 
ゾイサイトの青系の石である
ブルーゾイサイトのことを
タンザナイトと呼ぶのですが、
 
個体別に
青が強いものや紫が強いものがあったりと
色に違いがあるに上に、
 
一つの個体の中に
濃い青色、濃い紫色、すみれ色、
最高級と言われるものの中には
青色の中に赤色が見えるものがあったりと
 
とにかく
一言で青とは言えないくらい
色の表情がとても豊かな石です。
 
このタンザナイトのように
一つの石の中に様々な色が見れることを
多色性と言います。
 
多色性とは
違う角度から(正確には異なる結晶方向から)
見ることで異なる色を示すという性質です。
 
一つの石の中に複数の色がある、
何だか魔法の石のようですね。
 
タンザナイトを見かけた時には
是非いろんな角度から見てみてください。
主観ですが、比較的色が濃い石の方が
不思議な多色性を見れる気がします。
 
 
 
タンザナイトは
採掘されたままの状態だと褐色であるため
冒頭の写真のような美しい青色にするために
流通しているほとんどの石に
加熱処理が行われています。
 
処理と聞くと
あまり良いことではないと感じる方も
いらっしゃるかもしれません。
確かに天然の色とは違くなりますものね。
 
今回は石の処理について
少し説明してみようと思います。
 
まず、処理は石の色の改善や透明度などを上げて
美しくするために人為的に行われているものですが
実は珍しいことではありません。
また、天然石に人為的な処理を施しても
天然石という扱いは変わりません。
 
聞き慣れない方は
処理に対して「やってはいけないもの」
と思ってしまうかもしれませんが、
先ほどの通り流通しているほとんどに
処理が施されている石もあるので
 
今はやってはいけないものというよりも
「偽証してはいけないもの」という
認識の方が合っているかなと思います。
 
※ただし、施して良い処理と
施してはいけない処理があります。
また、同じ処理でもA石はOK、B石はNGというものもあり、
一概に処理の種類だけで良し悪しは分けられません。
 
 
 
石の処理にも色々な種類があります。
中でも加熱処理は歴史が古く、
紀元前古代エジプトの時代から
行われていたようです。
今ほど機械化していない頃は
何日も火にくべて石の色を改善した
と言われています。
 
鑑別機関で検査を依頼し
石に処理が行われていることがわかった場合、
発行される鑑別書には
改善の目的と処理の種類が表記されます。
 
例えば
鑑別の検査で加熱が行われているとわかった場合、
鑑別書には「色の改善を目的とした加熱が行われています」
と表記され、
 
検査で加熱が認められない場合、
鑑別書には「加熱の痕跡は認められません」
と表記されます。
 
ですが、
今月の誕生石タンザナイトは
ほとんどの石に加熱処理が行われていますが、
「通常、色の改善を目的とした加熱が行われています」
というふうに表記されます。
 
これでは実際にそのタンザナイトが
加熱処理されたかはわかりませんね。
 
タンザナイトに関して言うと
非常に曖昧な答えになってしまうかもしれませんが、
加熱処理を行っていることが通常という前提があり、
加熱か非加熱かを検査で見極めることが難しく
明らかな確証を得ることができないので、
鑑別書で「非加熱」とは表記していません。
 
「非加熱」と表記されず、
「通常、色の改善を目的とした加熱が行われています」
と表記されているなら、
加熱処理がされていると思わざるをえません。
 
ただし、確実に調べる術がないので、
絶対に非加熱ではないとも言い切れないんです。
 
もしかしたら、、、確率は低そうですが、、、
東アフリカのメレラニ鉱床まで赴いて
産出した非加熱の石を買い付けて
手に入れる人がいるのかもしれませんし。
 
なんだか
なぞなぞみたいになってしまいましたが。
 
タンザナイトの
加熱・非加熱どっちなの問題について
解決は非常に難しいところですが、
 
ジュエリーとして楽しむための
タンザナイトを買うときに選ぶコツとしては
「その色が好きか」や「その石が好きか」で
選ばれると良いかなと思います。
 
そのままの石の色が好きな人もいれば、
処理した後の色が好きな人も
いらっしゃると思います。
 
どんな石でもそうですが
身につけるためのジュエリーであれば
気に入っているかがとても大切です。
ぜひご自分の気に入ったタンザナイトを
見つけてみてくださいね。
 
中央宝石研究所という
日本の中でも有名な鑑定鑑別機関のウェブサイトに
メレラニヒルズの記事がありました。
こんなところでタンザナイトは採れるんですね。
タンザナイトの加熱前、加熱後の写真もあるので
ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
CGL通信 vol21 「アフリカ視察報告」
 
 
 
最後に加熱にまつわるお話をもう一つ。
 
加熱処理は人の手で行われていますが
熱されることによって石の見た目が変わるのは
自然界でも起こりえる現象です。
それを変成作用と言います。
 
初めにタンザナイトを発見したのは
アフリカのマサイ族なのですが、
マサイ族が見つけた青い原石は
天然の熱源にさらされ変成作用が起こっており
最初から青かったと言われています。
 
また、山火事が起きた跡に、
地面に青い色の石がたくさん転がっていて
それがタンザナイトだった
というお話も残っています。
鉱床の近くだったら
可能性もあるかもしれません。
きっと不思議な光景だったと思います。
 
 
 
今回は一つの石の中に複数の色を持ち、
熱せられることによって
さらに青く美しくなる
12月の誕生石タンザナイトのお話でした。
 
 
毎月1つずつご紹介していた
誕生石に関しては、今年はこれまで。
来年は今年紹介できなかった
誕生石についても書こうと思っています。
 
来年もお楽しみに。
みなさま良いお年を。
 
 
 
ジュエリーコーディネーター3級テキスト
Wikipedia 変成作用
GIA タンザナイト
CGL通信 vol21 「アフリカ視察報告」

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書

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