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2021.10.18 Monday ジュエリーの知識

デザインの知識17 爪留めの爪の数

こんにちは、
スタッフの小松です。
 
もうすっかり秋の気候ですね。
コンビニスイーツや野菜売り場にも
秋の味覚の1つ、さつまいもを
よく見かけるようになりました。
 
甘くてほっくり美味しいですし
お腹にも良いので私は大好きです。
 
ちなみに野菜売り場のさつまいもは
端っこから黒い蜜のようなものが
滲み出ている方が甘いそうですよ。
 

 
 

1.爪留めの爪の数


婚約指輪 オーダーメイド ソリティア
今回のデザインの知識は
「爪留めの爪の数」について。
 
ジュエリーに
ダイヤモンドなどの宝石を留める方法を
石留めと言います。
 
石留めにはたくさんの種類がありますが
今回注目したのは爪留めです。
 
爪留めという留め方は
石留めの中でも一般的な留め方で
どのブランドでも商品化していることが多く
普遍的なジュエリーのデザインとして
昔から長く愛されてきています。
 
婚約指輪 オーダーメイド サイドメレ
見たことがある方も多いと思いますが
婚約指輪の石留めにもよく使われる形です。
 
爪留めにも様々な形があり、
1つ1つ細かいところは違う部分もありますが
全てに共通しているのは
石座に石をはめ込んだ際に
「爪」と呼ばれる棒状の金属で横と上から石を固定している
というところです。
 
その際爪は
円筒状や平べったい長方形などが多いですが
形に特に決まりはありません。
丸い形も四角い形も
先端が尖った鷹の爪のような形も
全て爪留めです。
 
今回はその爪留めの爪の数の違いについて
ご紹介していこうと思います。

 
 

2.爪の数は何本がいい?


婚約指輪 オーダーメイド ミル打ち
爪の数は
基本的に石が留められれば、
何本でも良いとされていますが
さすがに1本では
完全に留めることができませんので
最低でも2本以上の爪で留めます。
 
また、爪の数が少ないよりも多い方が
石がしっかり留まりますし、
奇数よりも偶数の方が
全方向からダイヤモンドを均一に留められるので
婚約指輪などの爪留めは偶数で作られている方が多く、
見た目も偶数の方がシンメトリーで綺麗に見えます。
 
では爪の数は何本が良く、
一般的に多く作られているかというと
丸いラウンドブリリアントカットの
ダイヤモンドの場合は4本爪〜6本爪
婚約指輪に使われることが多いです。
 
デザイン的にはシンメトリーで
爪の数もちょうど良く、
またどちらもダイヤの周りを
全方向から留めているため
強度的にも問題ないと思います。
 
4本と6本を比較すると
4本爪の方がすっきりとしてシンプルな印象です。
 
6本爪もバランスが良く綺麗で
周りの装飾によっては
都会的なスタイリッシュなデザインにも
アンティークジュエリーのような
クラシカルな印象にもできます。

 
 

3.爪の数別 見た目の違い


ほんの少しの差かもしれませんが
爪の数の違いでも
指輪の印象は変わってきます。
 
先程4〜6本が一般的で
強度的にもデザイン的にもちょうど良いと書きましたが、
他の本数ももちろん存在しているので
ここでは2〜6本の爪留めの
見た目の違いについて書きました。
 
全て写真でお見せしたいところですが
全部の爪の数を集めることができなかったので
簡単なイラストと写真があるものは
フルオーダーやセミオーダーの
婚約指輪写真を使用して
爪の数ごとにご紹介していこうと思います。
 
 
 
婚約指輪 オーダーメイド 爪留め
こちらは2本爪。
イラストのように上下もしくは左右で留めます。
 
自分でイラストを書いておいてあれですが、
2本の場合は爪はもっと大きいほうがいいです。
 
ネックレスやイヤリングなどは上下が多く
指輪は左右から支える形が
比較的多く選ばれていると思います。
 
また、石の後ろ側を支える石座も
小さく華奢なものではなく、
しっかりと石全体を支えている形の方が
石が外れる心配も少ないので安心です。
 
ちなみにhitotsuchiのセミオーダーには
こんな2箇所で留めている婚約指輪があります。
シンプルなデザインで人気の婚約指輪です。
 
婚約指輪 オーダーメイド ソリティア ピンクゴールドセミオーダー婚約指輪 HER023
 
婚約指輪 オーダーメイド ソリティアセミオーダー婚約指輪 HER023
 
この婚約指輪は
石座と爪が独立しておらず
全て一体化しているのですが
2箇所の爪の石を留めている範囲を見ていただくと
他の爪留めの指輪と比べて爪が大きいことが
お分かりいただけると思います。
また石の後ろ側もしっかりと金属が支えているので
強度的にも安心して身につけることができます。
 
野暮ったくなりすぎず、しかし強度は保ちつつと
バランスが難しい爪の数ですが
専門的な事はデザイナーに任せながら
しっくりくる爪になってもらえたら良いなと思います。
 
 
婚約指輪 オーダーメイド 爪留め
続いて3本爪。
こちらもあまり見かけることは少ない本数ですが
2本爪に比べるとダイヤモンドの周りを
均等に固定できます。
 
三角形と逆三角形になるように描いてみましたが、
指輪を着ける際にひっくり返せば
どちらの爪の位置も1本の指輪で網羅できますね。
 
爪の数は2本に比べれば多くなりましたが
やはり少ない方なので
石座の部分はしっかりと石全体を支えている形の方が
石が外れる心配も少なく安心です。
 
3本爪はラウンドカットも留められますが
どちらかというと
トリリアント(三角形)や
ハートシェイプ(ハート型)の
ダイヤモンドによく使われています。
 
No.55 トリリアントカットダイヤの婚約指輪
 
角が3つなので
この数が一番留めやすいです。
ちょっと脱線しますが
例えば、珍しい形で六角形のヘキサゴンカットなどは
6本爪が一番留めやすくなります。
もし多角形のダイヤモンドを指輪に留めるなら
角の数と同じ爪の数を選ぶと良いと思います。
 
 
婚約指輪 オーダーメイド 爪留め
続いて王道の4本爪。
四角と十字についているものを描いてみました。
 
どちらも婚約指輪の中では
王道ですっきりとしたデザイン。
強度もあり爪のバランスも良く
台座が繊細な作りであっても
しっかりと石を留めてくれます。
 
婚約指輪 オーダーメイド ソリティアNo.231 2色組み合わせた剣腕の婚約指輪
 
婚約指輪 オーダーメイド ミル打ちNo.239 ミルが個性的な爪留めの婚約指輪
 
見た目の印象以外では、十字よりも四角の方が
横に爪部分があまりはみ出ないので
結婚指輪を重ね付けするには有効な形だと思います。
 
反対に十字の形で重ね付けを検討する場合は
結婚指輪と婚約指輪の高さや形を考え
婚約指輪の石の下に結婚指輪がはまるようにすると
収まりが良くなりますよ。
 
 
婚約指輪 オーダーメイド 爪留め
続いて5本爪です。
 
他の爪の数では2パターン用意しましたが
5本爪は星形の1パターンが綺麗だと思います。
 
婚約指輪 オーダーメイド 5本爪セミオーダー婚約指輪 HER013
 
もちろん少し回転させて
アシンメトリーにすることも可能ですが
爪の数も多いので見る人によっては
「なんかちょっと中心からずれてる?」と
思われてしまうこともあるかもしれません。
 
なので5本爪の場合は
星形が一番おすすめしたい形です。
 
また当店ではお花の形をした婚約指輪の
フルオーダーを制作することがあるのですが
花びらの数や形に合わせて爪の本数を決めると
良いと思います。
 
婚約指輪 オーダーメイド 杏の花No.238 杏のお花の婚約指輪
 
こちらは杏のお花の婚約指輪で
5枚の花びらに合わせ5本爪になっています。
ちょっとしたことなのですが
爪の本数とのバランスが良いだけで
ぐっとデザイン性がよく見えます。
 
 
婚約指輪 オーダーメイド 爪留め
最後に6本爪です。
頂点を指輪の上下にするか左右にするかで
印象が変わってきます。
 
婚約指輪の形で有名な
ティファニーセッティングもこの6本爪にあたり
爪の位置は上下に頂点が来る形です。
 
6本も爪があるので
本数が少ないものよりも
爪の大きさを小さくできます。
4本爪と同じように
爪の頂点が横に来た方が横のでっばりが少し減りますが
爪が小さくできるぶん出っ張りも少ないので
上下も左右もそこまで差はでないかなと思います。
 
婚約指輪 オーダーメイド クラシックNo.248 ミルグレインを施した6本爪の婚約指輪
 
婚約指輪 オーダーメイド 百合の花No.233 百合の花の婚約指輪
 
ちょっとわかりにくいかもしれませんが
2つ目の百合の形をイメージした婚約指輪の中央のダイヤモンドは
左右に頂点を持ってきたときの例です。
 
先程5本爪の時にご紹介した
杏のお花の婚約指輪は
花びらのちょうど中央に爪が来るように
作られていましたが、
 
こちらの百合の花の婚約指輪は周りの石座との構造上、
花びらと花びらの間に爪が来るように作られていて
爪が目立たず構造的にも視覚的にも美しく見えます。
 
 
2〜6本の爪留めの形をご紹介いたしました。
気になる形は見つかったでしょうか。
 
数が少ない本数から順にご紹介していきましたが、
一般的には4〜6本の爪留めが一番多く、
強度的にも心配が少ないと思います。
 
婚約指輪を探すときなどに
ぜひご参考になさってください。

 
 

4.まとめ


今回のデザインの知識は
爪留めの「爪の数」をご紹介しました。
爪の数はすでにデザインされていることが多いので
フルオーダー以外では数を選ぶということは
少ないかもしれません。
 
またフルオーダーでも
前章で紹介したお花の婚約指輪のように
構造上、爪の数が決まることもあります。
 
お客様が1から爪の数を選ぶという場面は
少ないかもしれませんが、、
 
小さな爪の位置1つで
その指輪のデザイン性や構造的な美しさも変わりますし、
小さな面積で石をしっかりと留めなければならないので
ジュエリーにとっては実はとても大切な部分なんです。
 
1から作り出すフルオーダーはもちろん、
デザインが決まっている既製品の婚約指輪も
全て爪の数や大きさは同じではなく
1本1本、指輪の強度やデザイン性を考えて
配置されています。
 
ただ石を固定しているのではない
この指輪のデザインに合った本数、
この石の種類やサイズに合った強度、
小さな場所まで考えてこだわった形は
洗練されていて美しくなると思います。
 
洗練された特別な一本を
是非見つけてみてください。
 
今回はここまで。
次回もお楽しみに。

 
 

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書、居合道

結婚指輪・婚約指輪のオーダーメイドショップ
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