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2020.11.30 Monday ジュエリーの知識

デザインの知識⑩世界の誕生石【前半 誕生石の由来】

こんにちは、
スタッフの小松です。
 
今年から始めたデザインの知識も
10回目となりました。
 
ちりも積もれば山となるを実感しています。
最近はデザインだけでなく
ジュエリーの知識もちらほら書いていますが
これからも頑張って
いろんな知識をご紹介していこうと思います。
 
今まで書いたデザインの知識の中で
人気の記事はこちらでした。
「デザインの知識④ シグネットリング」
 
シグネットリングってかっこいいですものね。
結婚指輪のデザインの参考にもなると思いますので
気になる方はぜひご覧ください。
 
 
 
誕生石 由来
デザインの知識、
第十回は「世界の誕生石」です。
 
一年の各月に割り当てられた宝石。
自分の産まれた月にあたる石を誕生石と言い、
 
お守りとしてジュエリーにしたり
エンゲージリングのメインストーンとして
選ぶ方もいらっしゃいます。
 
そんな誕生石ですが
由来ってご存知でしょうか。
 
世間で認知はされていますが
実は知られていない事も多い誕生石について
前半後半に分けてご紹介したいと思います。
 
今回は前半、
「誕生石の由来」についてです。
 
 
 
誕生石の由来 教会 プラハ
誕生石の由来
 
誕生石はどのようにして産まれたのでしょうか。
その由来は諸説あり
あまり明らかではありませんが、
 
由来とされているもので
旧約聖書の「出エジプト記」、
新約聖書の「ヨハネの黙示録」
の2つがあります。
 
今回はこの2つがどんなもので
どこらへんが誕生石の由来になったのかを
書いていこうと思います。
 
 
 
誕生石の由来 教会 プラハ 聖ヴィート大聖堂
「出エジプト記」
 
「出エジプト記」とは
モーセが主(=神様)から使命を与えられ
エジプトの人々に奴隷として
虐げられていたイスラエルの人々を率いて
エジプトから脱出する物語が中心に描かれている
旧約聖書の一つです。
 
ご存知の方もいると思いますが
モーセといえば海を割った人です。
エジプトの人々からイスラエルの人々を守り逃げるため、
目の前にあった海を割って海底を歩いたという伝説ですが、
出エジプト記にはこの物語も描かれています。
 
誕生石の由来はどこからかというと、
エジプトの人々から逃れられたモーセたちが
主との契約を結びます。
色々な契約がある中で
主はモーセに
主に仕える祭司とその衣服を作るように伝え、
祭司の衣服の中に「さばきの胸当て」というものがあり、
主はその胸当てには4列に並んだ12個の宝石を
嵌め込まねばならないとしました。
 
この12個の宝石が誕生石の由来の一つとされています。
 
下記は出エジプト記からの抜粋です。
 
「出エジプト記」口語訳 第28章
”またその中に宝石を四列にはめ込まなければならない。
すなわち紅玉髄、貴かんらん石、水晶の列を第一列とし、
第二列は、ざくろ石、るり、赤縞めのう。
第三列は黄水晶、めのう、紫水晶。
第四列は黄碧玉、縞めのう、碧玉であって、
これらを金の編細工の中にはめ込まなければならない。
その宝石はイスラエルの子らの名に従い、その名とひとしく十二とし、
おのおの印の彫刻のように十二の部族のためにその名を刻まなければならない。”
 
出エジプト記の宝石を見やすく、
現代の呼び方も一緒に書いてみます。
 
第一列に紅玉髄(カーネリアン)、貴かんらん石(アレキサンドライト)、水晶
第二列にざくろ石(ガーネット)、るり(ラピスラズリ)、赤縞めのう
第三列に黄水晶(シトリン)、めのう、紫水晶(アメシスト)
第四列に黄碧玉(イエロージャスパー)、縞めのう、碧玉(ジャスパー)
 
現代の誕生石と石の種類を照らし合わせると、
日本の誕生石とされているのは
2列のざくろ石(ガーネット:1月)、
3列の黄水晶(シトリン:11月)、
紫水晶(アメシスト:2月)で
ほとんどの石は違います。
 
さらに同じ出エジプト記でも
口語訳、新共同訳、新改訳で
12個の石の種類がちょっとずつ違います。
 
石の種類は置いといて、
12個の宝石を使用した
というところが
由来の元になった理由のようです。
 
また、12個の石には
12の部族の名が刻まれており、
この部族というのは
ヤコブの12人の子供の部族を
指しているそうです。
 
12の部族が暦と関係があると
より説得力があるのでは?
と仮説を立て探してみたのですが、
残念ながらそういった説は
見つける事ができませんでした。
 
 
 
誕生石の由来 教会 プラハ 聖ヴィート大聖堂
「ヨハネの黙示録」
 
「ヨハネの黙示録」は新約聖書の一つです。
新約聖書の中で唯一の預言的性格を持つ書で
内容はヨハネが終末において起こるであろう出来事の
幻を見たというものになっています。
 
そもそも黙示録ってよく聞くけれど
なんだろうなと思って調べてみました。
 
新約聖書における黙示録とは
この「ヨハネの黙示録」のことを指しますが、
 
キリスト教における黙示とは
「神が人に表し示すこと」
いわゆる啓示であり
黙示録は啓司録でもあります。
 
神様の啓示録という意味なのに、
なぜか怖いイメージがある「黙示録」という言葉。
 
このイメージはヨハネの黙示録に描かれている
「世界の終末」の描写が恐ろしすぎる
ところからやってきているようです。
 
そんな幻を全部見ちゃったヨハネさんも
怖かったろうなと思ってしまいました。
 
さて、脱線してしまいましたが、
この「ヨハネの黙示録」にも
誕生石の由来とされている文章があります。
 
あらすじをすごく大雑把に説明すると
世界の終末が終わり
千年王国がやってきて千年が経つと、
サタン(=悪魔)が復活し、サタンが倒された後、
新しい世界が出来上がりました。
 
新しい世界の美しい聖都。
美しい聖都の城壁の土台には
宝石が飾られており
それが誕生石の由来だと言われています。
 
下記はヨハネの黙示録からの抜粋です。
 
「ヨハネの黙示録」口語訳 第21章 
“都の城壁の土台は、さまざまな宝石で飾られていた。
第一の土台は碧玉、第二はサファイヤ、第三はめのう、第四は緑玉、
第五は縞めのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、
第八は緑柱石、第九は黄玉石、第十はひすい、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。
 
宝石を見やすく
現代の呼び方と一緒に書いてみます。
 
1が碧玉(サファイアも碧玉と言いますがここではジャスパーの意)
2がサファイア
3がめのう
4が緑玉(エメラルド)
5が縞めのう
6が赤めのう
7がカンラン石(ペリドット)
8が緑柱石(アクアマリン、ベリル)
9が黄玉石(トパーズ)
10がひすい(硬玉のジェイダイト)
11が青玉(サファイア)
12が紫水晶(アメシスト)
 
現代の誕生石と照らし合わせると、
基本的な日本の誕生石とされているのは
2のサファイア (9月)
4の緑玉(エメラルド:5月)
7のカンラン石(ペリドット:8月)
8の緑柱石(アクアマリン、ベリル:3月)
9の黄玉石(トパーズ:11月)
11の青玉(サファイア:9月)
12の紫水晶(アメシスト:2月)
 
現代とは順序も違いますし
サファイアが2つ出てきますし
全て同じ種類とまでは行きませんでしたが、
 
先述の出エジプト記よりも
1〜12の数字に分かれているので
より誕生石っぽさがあります。
その部分が誕生石の由来とされている
と思われます。
 
 
 
誕生石の由来 教会 プラハ
以上、誕生石の始まりと言われている
2つの由来について書いてみました。
 
ほぼキリスト教のお話でしたが、
旧約聖書・新約聖書の中に
誕生石の元と言われている宝石の記述があった
という事はお分かり頂けたかなと思います。
 
ついでに
誕生石を身に着けると良いという行為は
西洋占星術から来ています。
 
西洋占星術に置いては
黄道十二宮のそれぞれに宝石が配置されています。
(星座のようなものですが、ちょっと違います。)
 
時期ごとに当てはめた石の力が
最も強くなると信じられていたことから、
月々石を取り換えて
身に着ける習慣が生まれたそうです。
 
今は月々に石を変えるのではなく
自分の生まれた月の石や
気に入った石を
身に着ける方が主流ですね。
 
次回は
日本の誕生石と外国の誕生石を
比較してみたいと思います。
 
次回もお楽しみに。
 
 
Wikisource 出エジプト記(口語訳)ヨハネの黙示録(口語訳)
Wikipedia 出エジプト記ヨハネの黙示録

書いた人

スタッフ 小松
ジュエリーの専門学校と御徒町のジュエリー工房で制作経験を積む。ジュエリーの商社でMDとして3年務めたのち、2019年からhitotsuchiに仲間入り。WEBサイトやSNS更新など中の人を担当。ジュエリーコーディネーター3級。
好きなこと:カフェ・お菓子屋さん巡り、刺繍、カメラ、映画、読書

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